相続登記義務化で放置は禁止!売れない土地を相続した時に使える対処方法とは

相続登記義務化で放置は禁止!売れない土地を相続した時に使える対処方法とは

不要な土地を相続し、処分に悩む方が近年増加傾向にあります。2024年からは相続登記が義務化され、これまでのように相続の責任を回避するために、相続登記をせずに土地を放置することも難しくなりました。

不動産取引に不慣れな相続人が、資産価値がない土地を手放すことは容易ではありません。本稿では、このような状況で、相続人が知っておくべき対処方法や、相続について役立つ情報や注意点について解説していきます。

2024年に開始された相続登記義務化の注意点とは

2024年から相続登記の義務化が施行されました。この新制度では、相続発生後3年以内に登記手続きをする必要があります。手続きを怠ると、10万円を上限として過料が科されることになりました。

 

この法改正は、適切な相続登記が行われないことで生じる所有者不明土地の増加に対処することを目的として制定されました。これまでは、相続した土地が負担となり、意図的に登記を避ける相続人や、相続人同士の調整がつかず登記が進まないケースが見られました。しかし、今後は相続登記をわざとしないことや放置しておくことは許されず、相続後できるだけ速やかに行う必要があります。

 

この変更は、土地の適切な管理と有効活用を促進し、将来的な土地利用の問題を予防することを目的としており、今後は相続登記の怠慢はより厳しく取り締まりが行われる可能性があります。

相続放棄を選択した方がいい場合は?

相続で不要な土地が含まれる場合、相続放棄を選択することもできます。しかし、相続放棄は相続財産をすべて放棄する必要があるため、相続放棄を選択するべきかどうかは慎重に判断する必要があります。

相続放棄をした方がいいケース

相続放棄をした方がいいケースは、相続財産に不要な土地が含まれているが、相続財産がほとんどない、または債務がある場合です。不要な土地は処分にも費用がかかり、維持、管理していくには手間がかかります。そのため、相続をしても不要な土地しか残らないという場合は、相続放棄を選択することをおすすめします。

 

相続放棄を選択しないほうがいいケース

相続放棄を選択しない方がいいケースは、不要な土地が相続財産に含まれるものの、現金や有価証券といった資産があったり、相続したいものがあるケースです。相続放棄を選択した場合、不要な土地のみを相続放棄するといったことはできず、すべての財産を放棄する必要があります。

 

そのため、現金や株等がある場合や、故人の持ち物で相続したいものがあるという場合は、相続後に不要な土地の処分をすすめる必要があります。

 

土地の放置が危険な理由とは?最悪犯罪に巻き込まれる可能性も・・・

相続により土地を取得した場合、様々な理由で適切な管理が困難になることがあります。例えば、相続した土地が遠方にあり日常的な管理が難しい場合や、相続人間で意見が一致せず、結果として土地が放置されるケースが見られます。

しかしながら、土地所有には潜在的なリスクが伴います。ここでは、土地の放置によって発生する可能性があるリスクを解説します。

税金や損害賠償が発生するリスク

土地所有には、予想以上の経済的負担が伴う場合があります。収益の有無に関わらず、毎年の固定資産税の納付は避けられません。さらに、定期的な草刈りや樹木の剪定など、土地の適切な維持管理にも相応の出費が必要となります。

 

これらの管理を怠ると、思わぬリスクに直面する可能性があります。例えば、放置された庭木が隣接地に侵入したり、老朽化した建物が崩壊することで、周辺に被害を及ぼす事態も考えられます。そういった損害を周囲に与えた場合、所有者として損害賠償責任を問われる事態に発展しかねません。

 

近隣住民や家族とのトラブルが発生するリスク

管理不十分な土地は、思わぬ対人関係の問題を引き起こす可能性があります。長期間の放置により境界が不明確になってしまい、隣接する住民との紛争に発展することがあります。また、手入れがされていない土地は、野生動物や害虫の温床となり、周辺住民からの苦情の原因になりかねません。

 

さらに、相続した不要な土地をめぐって、相続人同士で責任の押し付け合いが生じることもあります。負債を子や孫に残すことにも繋がり、これらは家族関係を悪化させる要因となり得ます。

 

犯罪に巻き込まれるリスク

適切な管理がなされていない土地は、思わぬ犯罪リスクにさらされる可能性があります。周囲から放置されていると認識された土地は、不法投棄の温床となりやすく、また空き家であれば空き巣や不法侵入の被害にあう恐れがあります。場合によっては、犯罪組織の活動拠点として悪用されるケースも報告されています。

 

このような事態が発生した場合、所有者としての管理義務を怠っていたと判断されれば、責任を問われることも考えられます。

 

土地の処分にはもう困らない!売れない土地にも使える処分方法とは?

資産価値がない土地を所有すると、税金や土地の維持管理が負担となるばかりか、処分することも困難となる場合があります。収益を得られない土地をわざわざ引き取りたいという人はなかなかいません。

 

実際に、相続によって不要な土地を手にすることになり、処分できずにいるという方も少なくないのではないでしょうか。そこでここでは、そんな売れない土地にも使えるおすすめの処分方法を紹介します。

 

自治体に寄付

不要な土地の処分方法として、自治体への寄付という選択があります。一部の自治体では、特定の条件を満たす土地の寄付を受け入れています。この制度を利用できれば、所有者は無償で不要な土地を手放すことが可能となり、管理の負担から解放されます。

 

しかしながら、自治体が受け入れる土地には制限があることを認識しておく必要があります。多くの場合、公共利用が可能な立地や条件を備えた土地に限って寄付が認められています。立地が悪く不便な場所にある土地や、開発が難しい土地などは、受け入れを拒否される可能性が高くなっています。

 

相続土地国庫帰属制度

2023年に導入された相続土地国庫帰属制度は、不要な相続地や遺贈された土地の処分方法として注目されています。この制度を利用すれば、一定の費用を支払うことで、国に土地を譲渡することができます。制度は、2023年以前に相続した土地にも適用可能となっているので、相続した土地の処分に困っているという方は利用を検討してみましょう。

 

ただし、全ての土地が制度の対象となるわけではありません。国が引き取る土地には一定の基準があります。例えば、環境汚染された土地や、崖崩れの危険性がある土地など、管理が難しい土地は、対象外となる可能性が高いです。この制度の活用を検討している場合、まず最寄りの法務局に相談することをおすすめします。

空き家バンクの活用

空き家の処分に悩む所有者にとって、空き家バンクの活用は有効な選択肢の一つです。空き家バンクは、自治体が主導する空き家情報を公開できるプラットフォームです。

不動産所有地の地域で空き家バンクが運営されている場合、物件の登録を検討してみましょう。ただし、通常の不動産取引とは異なり、買い手が現れるまでに時間を要する可能性があります。

引き取り業者に依頼

不要な土地を、できるだけ早く手軽に処分したい場合は、不動産引き取り業者の利用が効果的な選択肢となります。

 

引き取り業者の強みは、土地の処分に関する豊富な経験です。通常は活用が難しく、引き取り手がみつからないような土地であっても、独自のルートで活用するノウハウをもっているため、条件が悪い土地でも引き取ってもらえる可能性があります。

 

一般的な不動産業者や行政の制度では対応が難しいと断られた土地であっても、まずは無料査定を依頼してみましょう。

 

しかしながら、業界には悪質な業者も存在します。高額な手数料を要求したり、詐欺的な行為を行う業者もいます。そのため、業者選びの際は、実績や評判などを十分に調査することが重要です。

 

マッチングサービスの利用

最近では、不動産取引の分野でも個人間取引が増加し、オンラインマッチングサービスが注目を集めています。マッチングサービスは、土地の所有者と買主を直接つなぐプラットフォームです。特に、インターネットを通じた個人間取引に慣れている方にとっては、おすすめの選択肢です。

 

このサービスの大きな利点は、従来の不動産市場では評価が難しい物件でも、所有者が希望する価格で掲載できることです。全国のユーザーに発信できるため、町の不動産業者では買い手が見つからないような土地であっても、買い手が見つかる可能性があります。

 

売れない土地に困っているという方は、まずは登録だけでもしてみることをおすすめします。

 

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まとめ

不要な土地の相続は、予想以上に複雑な問題を引き起こす可能性があります。相続人間での意見の相違が争いに発展したり、処分方法が見つからず固定資産税の負担が続くなど、様々な課題に直面することがあります。

 

このような状況を回避するために、本記事で紹介した情報をぜひ役立ててください。また、専門家のサポートを受けることも検討しましょう。不動産取引や相続に精通した専門家は、その豊富な知識と経験をいかして、円滑な問題解決をサポートしてくれます。

 

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